─ 顕彰碑文 ─

又賀清一氏は大正三年二月益田市中島町に生まれ、松江商業学校を経て和歌山高等商業学校を卒業後は郷土に帰り家業の木材業に従事し、戦後のわが国基盤産業となった木材産業の振興発展に全力を注ぎ続けてきた。なかんずく氏が終世の師と仰ぐ二十三代田部長右衛門先生との深い絆は昭和十八年の島根県地方木材株式会社の創立を機に結ばれ、爾来ゆるがぬ相互信頼は日新林業株式会社を中核とする日新グループの業界における確固たる地位の確立となって結実した。氏はさらに日本合板工業組合連合会の結成に伴い初代会長を含め通算六期その職を務め卓越したリーダーシップに業界から絶大な信頼が寄せられわが国合板産業の発展振興に多大な貢献を果たされたことは共に「木ノ道」を歩んできた我々の誇りとするところである。

つねに神仏を敬い人との触れ合いを大切にする又賀清一氏の処世の基本は温かい人間性を基盤とし、的確な情勢分析と広い国際的視野に裏付けられた経営哲学の教えは関係業界のみならず新聞報道の分野までを含めた幅広い各界各層に今なお広がりを見せている。
この間、昭和四十五年に藍綬褒章、同五十九年に勲三等旭日中綬章受章の栄に浴された。
「風性常住」の境地を常に実践してきた我らがリーダーのこの理念は二十一世紀にも我々の心の中に生き続けるであろう。ここに氏の米寿記念し深い敬慕の念をこめてその業績を顕彰するものである。

平成十三年四月吉日
又賀清一顕彰委員会長